不確定性原理についての修正理論と検証実験
2012-01-16


「不確定性原理」という物理学の基本原理があります。
私は学部生の時に学びました。
理系を目指す高校生なら,
高校生の時から, その名前は知っているかも知れません。
私が学んだのは, Karl Heisenberg(カール ハイゼンベルク)の
思考実験に基づく式(*1)で, 位置の誤差と運動量の誤差の積は,
必ずh/2πより大きくなるというものでした。
この不確定性原理があるので,
私が専門としている(*2)化学の世界では,
原子に束縛されている, 運動する電子の位置と,
運動する方向を同時に確定できないため,
原子核の周りを運動している電子には「軌道」はなく,
確率密度と呼ばれる,
電子が存在している可能性が高い空間を「雲」にして描いていました。

 このように, 化学の世界(に限らないでしょうが)では
大変基本的な原理が, 修正を求められるようです。
名古屋大学小澤正直氏が提唱している,
小澤の不等式と呼ばれる, 数学者が提唱した式を,
オーストリアの研究者等が実験で検証したようです。(*3)
小澤の不等式は, Heisenbergの式に
補正項を追加した形になっています。
補正したのは, 「量子ゆらぎ」と呼ばれる,
物質が本質的にもっているゆらぎのようです。
Heisenbergの式は, 対象物質測定時の誤差という考えがあって,
測定対象の位置や運動量には, 唯一の値があることが
前提となっていたのですが,
小澤氏は, その前提を修正した, という理解で良いのでしょう
(間違えた理解でしたら, どなたか教えて下さい。)。

 不確定性原理が否定されたのではなく,
修正されたという理解でよいのだと思いますが,
となると, 化学の世界にはどのように影響するのでしょう。
私は「量子ゆらぎ」という物を理解していないので,
化学への影響について何も想像できませんが,
位置も運動量も同時に決められない電子についての思いが
少し変わり, ワクワクする研究成果のように思いました。

(*1) [URL]
このブログを書くために記事を参照したWikipediaは,
既に(*3)の情報を記載しておりました。仕事が速いですね。
(*2) 教員・研究員を辞めましたが,
それでも, 現役の化学者であり続けたいと思っているので,
こう書かせて下さい。
(*3) [URL]
但し, 購読していないと概要しか読めません。
私は購読するお金も読む時間もないので, 次の記事を読みました。
[URL]
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